研究人生を楽しむ会         

2010.3.21 更新

<本会の目的>

研究人生を楽しむ会(Academic Life Club)は、人工知能学会会員有志で結成された研究者のグループで,研究者の視点から研究者コミュニティのあるべき姿、社会との望ましい関わりについて考えています.研究者が将来的な研究環境や自らの研究目標に関する意識を高め,結果的に理想とする研究活動に打ち込める(その意味で研究人生を楽しむ)ためにはどうすればよいかというのが大きな問題意識です.

現在、例えば学生の進路選択の問題、増加したポスドクの問題など、研究者を取りまくキャリアパスに関してさまざまな問題があります.さらに、自分が思い描いていたのとは違う現実の研究環境にぶつかることもあります.私たちは、「ゲーム教材」という分かりやすい題材を用いて、キャリアパスに対する意識を高めること、研究活動に対する研究者自身の意識を高めることを狙っています.

会員: 山川宏(代表),
      市瀬龍太郎,太田正幸,加藤義清,庄司 裕子松尾豊

※現在は,下記ゲーム教材での仮想体験を活かしつつ,研究者志望者に限定しないキャリアデザインを学ぶためのを教育プログラムを実施しています.

<Happy Academic Life 2006>

私たち6人は研究者のキャリアを体験できるHappy Academic Life 2006というボードゲーム型の教材を,約一年間かけて,週末等の余暇を利用して開発しました.

研究者がアカデミックな世界で生き抜くには,その世界に応じたキャリアデザイン能力が必要です.私たちは,若手研究者がそういった能力を学ぶことを支援するために,(社)人工知能学会の20周年記念事業「AI若手研究者のためのキャリアデザイン能力育成事業:幸福な研究人生に至る道」において,この教材を企画・制作しました.

このたび完成した本教材を,人工知能学会誌の20周年記念号(2006年5月1日号)の付録として学会員全員に配布し、好評を得ております.

○ゲーム教材の内容について:

<キャリア教育プログラムと研究活動 >

私たちは本ゲームで得られる仮想体験を活かしながら, 自分自身の将来像(研究者に限らない)におけるキャリアデザインを行う 教育プログラム(合計約8時間,4〜16名)を大学の授業や集中講義などにて実施しており, 今後はこの活動を広めていきたいと考えています.
ここではビデオ版の本ゲームで得られたプレイログを,プレイヤ自身の振り返り に用いることでキャリアデザインに対する理解を深めることができます.

  • ビデオ版の本ゲームシステムはサーバクライアント型の構成をもちます. ロジックの処理やプレイログの取得などの処理を担当します.一方,各プレイヤ がゲームに参加するためのクライアント端末では各プレイヤの状態やボードの状 態などを表示する処理のみを行います.

一方で,ゲーミングシミュレーションと知的教育支援システム(Intelligent Tutouring System:ITS)を組み合わせた実用的なシステムの実現に向けた研究を進 めています.

<ゲームの入手方法>

本ゲーム教材の作成は(社)人工知能学会の記念事業の基で行われましたが,現在は,ゲーム作成に必要なデータの公開を行っています.これを用いればボードやカードを印刷してゲームを行えます. 詳しくは教材の基本データ公開 : [Download Page]にアクセスしてデータをダウンロードしてください.

<新着>

JSAI2006ゲーム大会と
オーガナイズドセッション

2006年6月7日〜9日まで、船堀タワーホール(東京都江戸川区)において第20回人工知能学会全国大会(JSAI2006)が行われました. この中で、「Happy Academic Life 2006ゲーム大会」を行いました.約30名の参加者がゲームに参加し、 ゲーム教材を使ってキャリアデザインを学びました.

また、この学会内で、 研究者のキャリアデザインに関するセッションを開催しました. 関連の発表と討議が活発に行われました. ご興味のある方は、発表内容の論文がダウンロードできます.

<第3回テストプレイ報告>

11月9日、第3回のテストプレイをJAWS2005の会場(箱根ホテル小涌園)で行いました.NotePCでデータ管理を行うはじめての試みでした.思ったより時間がかかってましたが、楽しんでいただけました.

    プレイ開始(21:35ごろ)

    1位(2時間8分): 兼田先生 (悠々自適型→学術栄誉型)
    2位(2時間24分): 菅原先生 (業績量産型→学術栄誉型)
    3位( ): 森山さま (教育者型)
    3位( ): 沼尾先生 (文化人型)
    3位( ): 横尾先生 (業績量産型→悠々自適型)


第3位(業績量産型→悠々自適型):横尾先生

学内業務に時間を取られ,外部資金も取れず論文も書けず,お情けで学内昇進でやっと教授になれたけれど,時間内にゴールできないという悲惨な結果でした.この晩は悪い夢をみて うなされるぐらいにリアルなゲームでした.


第3位(教育者型):森山さま

非常に面白かったです.


第3位(文化人型):沼尾先生

妙にリアルで面白かったです.隣でプレイしていた菅原さんが、大学とはこういうところかとの感想をおっしゃっていたのが、印象的でした(違う面もあるんですけどね :-).研究の内容が大当たりした、ためにいいことがあった、というようなことがあると、元気の出るゲームになると思います.学生が4人も居て、エフォートを食われて、よく休みました.現実の私も研究所所属なのに、学生が多めで、着任時の予想と違ってきていて、教訓になりました.


<第2回テストプレイ報告>

10月14日、JSAIの編集委員の先生方をお招きして、第2回テストプレイを行いました.2時間の激闘の末、次のような結果になりました!それぞれの先生方の個性がうかがえる楽しい場となりました.

  • 1位(1時間25分): 堀先生(悠々自適型)
  • 2位(1時間47分): 阿部先生(文化人型)
  • 3位(1時間50分): 津本先生(業績量産型)
  • 4位(1時間51分): 寺野先生(学内政治型→悠々自適型)
  • 5位(---): 武田先生(夢実現型)


第1位(悠々自適型):堀先生

 想像していた以上に楽しみました.一緒にプレーするメンバーと外野の皆さんの構成にもよるのかもしれませんが.意外に、プレイヤーの性格が出ますね:-) 夕方4時半から委員会をやって、その後、7時から9時過ぎまで、ごはんも食べずに、皆さん、あそこまでゲームに熱中しますか? AI研究者の琴線に触れるゲームなのかもしれませんね:-)


第2位(文化人型):阿部先生

 一見して人生ゲームの亜流なのかなって思いましたが、アカデミックな日常生活を彷彿とさせる面白いゲームでした.編集委員会が終ってから、なんだか入試より難しい説明を30分程受けてからゲームに臨みました(開始時間は午後7時近く).こんなに繁雑でいいのかなって思ってはいましたが、2回もターンすれば、なんとなく雰囲気はわかり、ゲームの運営の人(っていうのかな?)のサポートつきで、ルールや戦略もそれとなくわかり、スムーズにゲームは出来たと思います.
 さて、たかがゲームと思っていたのですが、やはり、そこは勝負の世界.のめりこんでしまいました.ただ、勝負に徹しすぎて、「学会」ばかり狙い、しょぼい研究に終始してしまったので、もしかしたらゲームの本来の面白さはもしかしたら、実感できていないかもしれません.しかしながら、このアンバランスさも、本番バージョンでは解決されているかも知れませんが.


第3位(業績量産型):津本先生

 単純化してあるため,現実とは少し異なる点もあるが,内容はよく練られており,ルールさえ理解できれば,極めて面白いゲームである.


第4位(学内政治型→悠々自適型):寺野先生

  まじめにやると身にしみる点も多いゲームです.ボードゲームだと思ってバカにせず一度とりくんでください.ここからAIの研究テーマを思いつくようなら優秀です.


<第1回テストプレイ報告>

 9月17日、ラフォーレ修善寺で「WebマイニングとセマンティックWebワークショップ」にて、プロジェクトの説明と、参加者有志による第1回テストプレイを行いました.メンバー以外による初めてのプレイでしたが、大変盛り上がりました. 2グループでゲームが行われ、大向教授と中村教授がそれぞれ優勝しました.

山川氏による趣旨説明

研究者のキャリアプランについてみんな考えてます

そしてゲーム

盛り上がっています

優勝してほくそ笑む大向教授

優勝してにやける中村教授

<趣旨>

記念事業企画タイトル:
「AI若手研究者のためのキャリアデザイン能力育成事業:幸福な研究人生に至る道」

提案者: 山川宏(代表者),
     市瀬龍太郎,太田正幸,加藤 義清,庄司 裕子,松尾豊

20周年記念として,主に若手会員をターゲットとした,研究者としてのキャリアデザイン能力の習得を支援する育成事業を行ないます.中心的事業としては,新たなゲーム教材(Happy Academic Life 2006:HAL2006)の開発と配布を行ないます.

HAL2006は,複数プレイヤ参加型ゲームであり,ゲームプレイを通じて,研究者キャリアの早期には体験できない,様々な研究関連イベントや,研究実績を蓄積することで,ポジションが変化することを擬似体験できます.その中で,ポジションに依存したイベントからの影響や,重点管理すべき研究資源が変化する事を体感し,それらのイベントにおける意思決定の意義を理解できます.すでに本企画にむけ,数ヶ月前より準備を進めており,現在はプロトタイプの作成を進めています.

本事業は我々6名が中心となって進めておりますが,記念事業として恥ずかしくないもとのなるよう努力いたしますので,今後は折に触れて皆様からも暖かいご支援をいただけると助かります.なお,本活動に興味があるなど,問い合わせの際には(  )にご連絡下さい.

<情報>

関連情報です.研究者のキャリアデザインに関して、いろいろな書籍が出ています.

monitor@academiclife.jp
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